大阪教材社の誕生はワタシが小学校5年生の頃。11歳のときでした。
初代の父がまだまともに会社名もちゃんと決めない状態で、車1つで書道用品の行商を始めたのがスタートです。
今から考えれば無謀なチャレンジですが、元来、父の正確は思い立ったが吉日・猪突猛進タイプなので、父らしい
立ち上げだったのかもしれません。
そんなスタートから約20年、わが大阪教材社も多少の波はあるものの、周囲のお客様にご利用を賜って経営
を継続してくることができました。 ところが、2年前のクリスマスくらいに急に父が激しい腰痛になり、歩けなくなった
のです。
これは書道用品を専門に扱っているものにとっては大変な事態です。
配送する紙や墨液は大変重く、配送も兼任
している営業マンにとって、腰を痛めることは致命的なことだからです。
しかし、当時のワタシは何年かに1度必ず腰痛を訴えていた父だったので、今回も軽度の腰痛だと思っていたのです。
ところが、坐骨神経痛とギックリ腰のダブルパンチで、全く仕事が出来なくなっってしまいました。
まるで生まれたての鹿みたいに立ち上がることもままならず、そのときは家族一同途方にくれてしまいました。
事の深刻さから、何度も家族会議を開き、今後治療をどうしていくのか、会社をどうしていくのか話し合いました。
そのときのワタシは、その年の前年にイタリア食材とワインの会社に転職したばかりで、やっとその環境に慣れはじ
め、顧客もつきはじめてきたところでしたので、どうするべきかをかなり悩みました。
結果的には、勤めていた会社 を辞め、書道用品専門卸の大阪教材社に入社することになりました。が、急なこと
だったので、引継ぎで2ヶ月程は 残ったものの、本当に当時の先輩社員や取引先の方々にはご迷惑かけたな~と
自省しているところです。
そしてとうとう大阪教材社に入社。
はじめの頃は本当に戸惑いました。書道は習っていた経験はありましたが、
販売員として道具のプロになるということとは、当然、別物ですから大丈夫かなあと。 急な出来事で、心の準備も充
分出来ていませんでしたから、個人的にはかなりのプレッシャー。
入社してまず始めたのは、お店のレイアウトやポップ、DMの作成、陳列の変更でした。 というのも、前々職は店舗
販売のフランチャイズチェーン本部で働いていたので、こういった販売促進はどちらかというと得意な分野だったのです。
その間に通勤の電車の中や寝る前に何冊も買ってきた書道関連本を読み漁りました。本で吸収できない情報は実際
の現場でお客様に伺いながら少しづつ教わる日々。それでも納得できないときは、実際に自分で商品を購入し、にじみ
の違いや渇筆の出方など、細かい商品の違いの把握に努めました。 そうしているうち、自分でも自覚せぬまま「書」に
関する知識と応用がついてきたような気がします。(偉そうに言って、まだまだ半人前なのですが・・・)
気付いたら、書道の道具が好きになっていたという副産物もついていました。
普通に書道をする人は、書道をはじめて少しづつ道具を理解し、持ち物にこだわるものだと思います。
でも、ワタシの場合は全く逆でした。書道道具をいろいろ試すうち、彼らに愛着がわき、書道が好きになっていました。
商売なり仕事なり、何を売るかではなく、どう売るかを考えていれば仕事は楽しいものだと思っていましたが、最近、書
道用具を売ることが楽しくなってきました。
ワタシにとっては嬉しい誤算です。 これからもいい書道具に出会って、それをお客様にどんどんご紹介していきたいと
思います。ワタシが感じているようにお客様にも、もっと書道の道具を好きになっていただけるよう、販売する側から提案
できれば最高です。