墨の磨り方
墨の磨り方は、これから書道をはじめられる方によく聞かれる内容です。
書道作品の制作のために、基本的ではありますが、大切なポイントですので参考になりましたら幸いです。
今後、加筆・修正を加える場合がございます。
- 墨の磨り方のポイント
1.なるべくよい硯を購入する
2.墨を磨る前に硯を水につけておく
3.墨は湿気を避ける
4.硯のどこで墨をどのように磨るか - 美しい墨色をだす墨の磨り方
- にじみの味わい
1.宿墨を作る
2.膠(ニカワ)を加える
墨の磨り方のポイント
墨の磨り方には、決められた固定のルールは無いのですが、
以下で墨の磨り方の4つのポイントをあげます。
1.なるべくよい硯を購入する
鋒鋩(硯面の凸凹ここで墨が磨れる)が細かく、
粒子の細かい墨液が得られます。
墨色が美しく、伸びがよいになります。
2.墨を磨る前に硯を水につけておく
硯は、墨を磨る数時間前に水につけておくと、
3.墨は湿気を避ける
墨は湿気を極端に嫌います。
墨の保存方法が悪いと使えなくなることがあります。
(割れた状態・モロモロの状態)
4.硯のどこで墨をどのように磨るか
墨は、硯の陸の部分で磨ります。硯の陸とは、硯の最も面積の広い平面部分です。
硯の陸に、水を少量ずつ落としながら、
硯の海に溜めた水を墨で陸の方にすくい上げて磨る人がいます。
このやり方を繰り返すと、墨に水分が染み込んで、
硯に対して垂直に立てて磨るよりは、
たまに裏返して表裏バランスよく磨るとよいです。
水は、20℃以上のものを使用しますが、熱湯は墨の粒子が粗くなりますので使わない方がよいです。
できるだけ水道水ではなく、ミネラルウォーターかカルキを抜いた水で磨るとよいです。
書体別の墨の濃さについて
楷書を書く場合は、濃い目に磨ります。
行書、草書の場合は、やや淡く磨ります。
篆書、隷書は、その中間位に磨るとよいです。
※あくまで目安について書いており、ルールがあるわけではありません。
美しい墨色をだす墨の磨り方
美しい墨色をだすには、
なるべく気長に力を入れず、墨を磨るようにしてください。
墨の濃度は、どのような作品にするか、どのような紙・
墨の濃度には、大きく分けて濃墨・中間墨・淡墨の3種類がありま
にじみや墨色の微妙な美しさを表現できる淡墨をつくるときには、
淡墨は、一般的に叙情的で繊細な表現をする作品に適しています。
淡墨の作り方は、別のコラムで詳しく書いていますので、
濃墨は、筆の線がストレートに現れますので、書き手の意図や技術をごまかしなく表現できます。
楷書を書く場合は、濃いめに磨り、行書・草書の場合は、やや淡く磨ります。
篆書、隷書は、その中間位に磨るとよいでしょう。
にじみの味わい
にじみの味わいを出したいときには、
1.宿墨を作る
宿墨とは、墨を磨った後に、硯の中で長くためた墨のことをさします。
宿墨を使用するには、発墨もよくないですし、筆をいためる原因になりますが、書道作品制作である意図をもって使用する場合があります。
宿墨は、墨で磨った墨液を自分の好みの濃墨にのばして、長期間保存しておきます。
このようにすると、墨に含まれるニカワが変化し、
2.膠(ニカワ)を加える
にじみに、ニカワの作用が大きく関わっています。
棒ニカワや液体ニカワは、書道専門店で購入することができます。
墨は、煤とニカワを原料としています。
ちなみに墨液に膠(ニカワ)を加えると、濃度は変わらずに、粘度が上がります。
墨を淡墨で使うとき、膠(ニカワ)を加えると、淡墨色はそのままで、濃墨を使っているような感触になります。
宿墨の濃度や保存期間・ニカワの割合は、
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