藤原行成の升色紙とは?
升色紙とは?
升色紙は、「継色紙」・「寸松庵色紙」とともに三色紙の1つに挙げられ、平安時代を代表する名筆に数えられています。
三十六歌仙の1人として著名な清原深養の歌集「深養父集」を書写したもので、元は冊子本でしたが、切断されて色紙として鑑賞の対象となりました。
鳥の子の素紙に、微細な雲母砂子をまいた料紙に、和歌1首を散らし書きにしています。
その構成は各葉それぞれに異なりますが、中には行を重ねて書くなどの斬新なものもあり、当時の貴族の洗練された美意識が垣間見えます。
豊潤な線質の、丸みのあるふくよかな字形も特色です。
古来より藤原行成筆と伝えられていますが、実際には行成より後、11世紀の終わり近くの書写です。
歌の頭に「古」(古今和歌集)などと小字と点が加えられているものがありますが、これは他本と照合して本文の異同を検討した跡であり、その筆跡は藤原定家とされています。
升色紙の特徴
- 穂先の利いた筆を円転自在に駆使した、優美で明るく穏やかな書風
- ゆったりした空間を生かすハリのある線
- ふくよかな字形
清楚な料紙に、余白の美を充分考慮し、行間の処理、墨継ぎの妙を見せながら、巧みな筆致で揮毫
升色紙の文字は、変体仮名を学んでいる方であれば、読みやすいものです。
しかし、その可読性にもかかわらず、緊張感があるというのが魅力の1つです。
升色紙前後の書風
藤原行成によって完成された和洋の書は、11世紀半ばを過ぎると次第に爛熟期を迎え、藤原行成が理想とした字形の正しさ、沈着な線などの上代様とよばれる典型美が崩れていきました。
そして、新たな美の典型を模索し、優美繊細な書から軽妙、洒脱な書へとゆるやかに姿を変えていきます。
升色紙の名前の由来
料紙がほぼ真四角で升のような形をしているところから升色紙と名付けられ、今に至っています。
升色紙の見どころ
奥行のある遠近感と構成の妙
- 細い線でも、転折は強く、穂先をバネのようにきかせた力が、ハリのある線を生んでいます。
- 行を重ねる大胆な構成、線の細太の大きな落差が奥行きを感じさせ、古筆の中でも特に立体感が際立つ優雅な名筆です。
升色紙の臨書 書き方のヒント
- 変体仮名の用い方
- 余白を含む紙面構成
- 運筆の遅速や線の太細
- 和歌と書のリズム
升色紙の臨書にオススメの臨書用紙・筆
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