中務集を臨書する前に特徴を知る
西行が書いた中務集とは、どのような特徴がある古筆なのでしょうか?
以下で解説させていただきます。
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中務集の筆者は?
「ねがわくば花の下にて春死なんそのきさらぎのもち月のころ」の歌で知られる歌人・西行(1118~1190年)。
西行は、本名を佐藤義清といい、武家に生まれて鳥羽上皇に仕えたものの、保延6年(1140年)に23歳の若さで出家し、西行・円位などと号しました。
西行は、仏道修行を重ねるとともに、旅の歌人として過ごし、多くのすぐれた歌を遺しました。
「新古今和歌集」には、個人の歌としては一番多い94首が収録されており、自らの歌集に「山家集」があります。
漂泊の旅の様子は、「古今著聞集」「沙石集」などの説話集に記され、西行の足跡は次第に伝説化されるようになりました。
中務集は、その西行が書いたと伝えられる平安中期の女流歌人・中務の私家集(個人の歌を集めた本)です。
女流歌人・中務とは、宇多天皇の第4皇子敦慶親王の女です。
父が中務卿・式部卿であったため、その官名を女房名としました。母は歌人として有名な伊勢です。
中務集の特徴は?
中務集は、上代様を甦らせた気品あふれる名跡です。
※上代様
小野道風・藤原佐理 ・藤原行成らに代表される平安中期に完成した和様の書風。
中務集は、西行60歳頃の書と考えられています。
端正な字、息が長く美しい連綿は、上代様に見られたものです。
この頃は、すでに上代様は流行から外れ、古風と考えられていたようですが、西行はそのような時代の流れに流されず、上代様の美を見事に表現してみせたのです。
格調の高いかなの表現
同時代では類を見ない端正さです。
1首3行にほぼ統一された形式は、和歌を読ませることに主眼が置かれたのではないでしょうか。
とはいえ、文字の形の格調の高さ、端正さは、この時代でも飛びぬけて優れたもので、息の長い連綿も安定感があります。
11世紀の仮名文字を規範とし、テンポが速くリズム感に富み、よく歯切れのよい筆致で書かれています。
たいへん伸びやかで、切れ味の鋭い線質も特徴です。
大和綴(やまととじ)の冊子本
本紙:楮紙
表紙裂地:紺地に龍牡丹唐草文緞子
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