真草千字文(智永 )とは
真草千字文(智永)は、現在残っている古名跡の中でも最高のものの1つです。
草書のお手本として、広く知られている智永の真草千字文について学んでいきましょう。
真草千字文の作者は?
智永は、陳から隋のころにかけて生存した僧で、王羲之7世の孫で、100歳に近い長寿だったと伝えられています。
居住していた永欣寺に30年間楼上して書に精通し、真草千字文を書き上げました。
虞世南に書法を伝授したとも伝えられています。
書に関しては、楷書・行書・草書・章草の各体に熟練しており、特に草書が最もすぐれていたといわれています。
智永の書は、宋の時代にはかなりの数があったようですが、現存しているのは、真草千字文のみです。
現存する千字文には、真跡本のほか、関中本千字文、宝墨軒本千字文などの刻本があります。
真跡本とは、その人が書いたものであると認められる筆跡の本です。
真草千字文の内容
真草千字文に書かれている文章は、4字ずつで1句をなす韻文が250句、全部で1000字になり、重複した文字は1字もありません。
これが千字文とよばれる所以です。
千字文は、梁の武帝の命令で当時の高官で才筆に秀でた周興嗣が、王羲之の草書から無秩序に引き出された千字を使って、韻文に使ったと伝えられています。
智永は、この原本に基づいて800本の臨書をしたといわれますが、千字文の流布は智永のこの臨書によるものと考えられています。
真草千字文は、楷書・草書2体を並列に書いた千字文の墨跡で、他に刻本と臨本があります。
小川本千字文
麻紙。明治の初年、谷鉄臣が江馬天江から入手し、小川家に渡ります。国宝です。
楷書は梁・陳間の書風で、草書は王羲之の影響を受けた書風です。
関中本千字文
1109年 石に刻したものです。
楷書は晋・唐の書風(東晋の王羲之の書風と唐代の書風)です。
蒋善進臨本
楮紙。字画は小川本に近いですが、異なる字もあり、別系の本です。書風も小川本に似ています。
真草千字文の臨書にあたって
真草千字文 臨書のポイント
- ゆったりとした運筆
- しなやかで重厚な線質
- 格調の高い書
真草千字文は、王羲之の書法を忠実に学び伝えられたものと考えられています。
書風は、用筆が自然で美しく、結体はおだやかで上品です。
引き締まった草書、派手な動きはないですが、運筆はいきいきと活気があります。
線は太く円みがあり、字は変化がありながらも整っています。
地味で個性を主張していないので、草書を学ぶ上ではよい手本になるのではないでしょうか。
筆は、先の利いた中鋒か短鋒がよいです。
筆の構えは側筆で、線は太めにし、弾力をきかせます。
字形は右肩上がりで、左下へ向かった縦や斜の線を強く突っ張って、全体のバランスを意識します。
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