懐素 草書千字文・自叙帖の作者
懐素(かいそ) 725年 中国唐代の書家・僧。
幼くして仏門に入ります。大変書道を好んだ人で、特に草書にすぐれていました。
懐素の作風は、王羲之の書法をベースにしながら、狂草と呼ばれる極端に崩して連綿させた変化の妙が特徴の書体を得意としていました。
また酒を好み、狂草の開祖と言われる張旭とともに張顛素狂(ちょうてんそきょう)と言われました。
後に、狂草・狂草的な作品を残しているのは、五代の楊凝式(ようぎょうしき)、宋代の黄庭堅、明代の祝允明(しゅくいんめい)・明代清代の王鐸・傅山(ふざん)など、それぞれの時代の特色を発揮しています。
懐素から影響を受けた書家は多数おり、有名なところでは楊凝式・黄庭堅・高閑・良寛などがあげられます。
懐素の主な作品と内容
草書千字文(そうしょせんじもん)
ほとんどが1字ずつ書かれた草書で自叙帖のような連綿は少ない。
多くは細みの線、その中に潤筆の太めの線が続く場合があり、多彩な線質で変化に富んで複雑です。
遅筆で書かれたところが多く、全体的に落ち着いており、静かで品格が高い作品です。
自叙帖(じじょじょう)
草書千字文と並んで懐素の代表的な名作です。
内容は、懐素が自らの学書の経歴を草書で書いています。
自叙帖の書風は、狂草体の書巻で、線は細く、筆勢は速く鋭いです。
古来の書法を基礎としながらも、新しい書風も取り入れています。
蔵真帖(ぞうしんじょう)
6行の草書で、顔真卿の影響を感じる書。
懐素が顔真卿に会い、張旭から伝えられた筆法を受けたことを書いています。
論書帖(ろんしょじょう)
9行の草書で、王羲之を祖とした伝統的な書法による正しい風格の草書。
懐素には珍しいおだやかで上品な書です。
聖母帖(せいぼじょう)
懐素56歳の書と言われています。おおらかで遅筆。
女仙人の聖母の廟を改修したときのことを書いたものです。章草の法を交えたあたたかでつややかな草書です。
苦筍帖
2行14字の草書。激しく変化にとんだ書で、艶やかさと優美さがあり、書風は米芾の草書に似ています。
など、中には懐素の書として疑わしいものもあります。
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