喪乱帖(王羲之書)とは?
喪乱帖とはどのような古典か?
喪乱帖(そうらんじょう)は、王羲之の手紙の断片を集めたもので、喪乱帖8行62字、二謝帖5行36字、得示帖4行32字からなる行書・草書作品です。
現存するものはごくわずかですが、幸いにも奈良時代に日本に将来されたと考えられる摸本が数本伝存しており、唐時代の貴重な摸本が我が国に現存されています。
喪乱帖は晩年の王羲之の書の姿を伝える貴重な作例として知られています。
もとは巻子本でしたが、現在は軸装に改められています。
書聖王羲之の行草書の中で、三種の帖を一幅に仕立てた精巧な摸本で、唐の太宗皇帝が数多く作らせたものです。
喪乱帖の内容
「喪乱の極」ではじまるこの手紙は、王羲之の先祖の墓が北方民族により再度むごい目にあわされ、「いたたまれず号泣し、心はちぎれんばかりで、その痛みをどうすればよいか、また激しい悲しみの気持ちが一層深まり、どうすればよいか」王羲之が墳墓の地に墓参り出来ない悲しさを訴えている内容となっています。
内容から永和12年頃に書かれたものと考えられています。
喪乱帖の特徴
喪乱帖は、王羲之晩年の完成された書風を類推するうえで、恰好の資料です。
1字の結構は、頭部を大きく広やかにとるか、重くする王法独特の様式で、運筆の使転にしたがって身のこなしが整っていくという心手合一の世界です。
雄々しくて勢いよく、線が力強く深い趣があります。
変化に富んだ華麗な筆致が見どころで、双こう填墨本であるため、字形は精密にかたどられており、かすれの部分などは、髪の毛ほどの線を何本もひいて作成されています。
そうした王義之の名筆の中にあって、この喪乱帖は王羲之ならではの完成された書風を伝える唯一の名跡といえるでしょう。
喪乱帖の臨書 書き方のヒント
- 字の上部と下部における重心の移動
- 左右への振幅が大きい
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盛喜 一輝 KAZUTERU MORIKI
大阪府堺市中区深井中町1994‐3