倪元璐(げいげんろ)という書家
倪元璐は、明代末の能書家であり、官員です。
明の萬暦二十一年(1593)浙江省に生まれ、字を玉汝、鴻寶と号した。明末の動乱期にあって、財務や内外交の要職のトップを務めるに至りましたが、李自成が北京を陥れた時に、国に殉じて自害しました。
その壮絶なまでの生きざまは忠節の烈士として伝えられ、後世に残された詩文や書画は自ずからの気に満ちた姿勢を厳しく訴えるものとして大変評価が高いです。
同時期の黄道周や王鐸と共に明代を代表する書道家としての地位を確立しました。
倪元璐の書の特徴
書は心画なりと言い、作品のもつ気は、書いた人と直結すると考えられています。
倪元璐は、明末烈士の書としての高い評価だけにとどまらず、書法は王義之、蘇軾に学び、自らの感興の赴くまま筆を走らせ、長条幅に行草書を連綿させる新しい形式を定着させました。
道具は、禿筆か小さめの筆を使用し、絹本にこすりつけるように駆使します。
激しい潤滑で運筆してゆくところが、倪元璐の書の真骨頂であり、書線は見る者に強烈な印象を与え、変化に富んだ筆、墨の扱いに独自の新しい手法がみられ、その筆の扱いの強さは作品の持つ気韻と趣が見る者を引き寄せます。
また線の渋みだけが特徴ではなく、余白や行間の美しさは見事で、やや小ぶりの文字で大胆に行間をとり、文字間や行間の余白を際立たせるところには感服いたします。
倪元璐は人格を高め、心技共に確かな修練によって格調のある書を築きあげた稀代の書道家であったといえると思います。
倪元璐の作品
「倪元璐集 中国法書選 二玄社」、「倪元璐 条幅名品選 二玄社」、「倪元璐の書法 二玄社」など、多くの作品を見て臨書することが可能です。
倪元璐の臨書について
臨書のポイント
- 造字の原理は「上密下粗」
- はねやはらいに見る独特な運筆法
倪元璐の生きた時代背景などを理解し、用筆や墨、紙などを工夫して、臨書すれば、大変面白く、思いがけない発見が有ると思います。
筆は先が切れ、少し短くなった筆で、少しスピードをゆるめ、こすりつけた渋い線状など、一種壮絶感のあるものに挑戦するのもいいかと思います。
ただ潤滑を出すのは簡単ではなく、用具用材にもより、筆法など経験が必要です。
ぜひ倪元璐の臨書に挑戦することをお薦めいたします。
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