発墨の良い墨液を使うことは重要です。
発墨とは、墨の下り方が絶妙で、美しい紫紺色、漆黒の墨液になることです。
発墨がよくないと墨色も光彩を伴わず、作品の価値にも影響します。
墨液がよく発墨するかどうかは、墨の磨り方や下り方に関係します。
磨墨の際に墨の粒子が微細に分散して、安定した墨液になると優れた発墨になります。
墨がよいと普通の硯で磨っても比較的良く発墨しますが、質の悪い墨を良質の硯で磨ってもうまく発墨してくれません。
発墨は墨の磨り方にも影響します。
磨り方の強弱、硯の種類や硬さの程度などの環境の変化でも相当変わります。
墨の磨り方には、直磨と円磨、斜磨などがあります。
直磨は、磨墨の面を同じように往復して磨る方法で、最も一般的な磨り方で無難。
円磨は、円を描くように磨る方法
斜磨は、墨を傾斜させて磨る方法で、泡ができやすく、どうしても磨墨面に圧の強弱が生じます。
墨を強く磨ると、摩擦で熱が発生し、ニカワを変質させ墨の粒子が結合して大きくなります。
早く磨ることも墨の粒子が大きくなり、生きた墨液の性質を損なう原因になります。
墨は心穏やかに静かに磨るのが理想ですね。