書道家 黄谷山について

書道
投稿日:2013年8月20日

書家として蘇軾、米芾、蔡襄とともに宋の四大家に数えられます。
本名は黄庭堅。号の山谷道人(さんこくどうじん)、涪翁(ふうおう)などがあり、
黄山谷中国の宋の時代の詩人で蘇東坡に師事し、後に師と並び称せられて蘇黄と呼ばれます。

山谷の詩や書は日本にも影響するところが多く、
「東坡山谷、味噌醤油」といわれ、「杜子美、山谷、李太白にも酒を飲むなと詩の候か」と小歌にまで謡われました。
山谷の書は機鋒鋭く、自在な働きに富みます。

高村光太郎の文章から
「黄谷山の書ほど不思議な書は少ない。大体からいって、彼の書はまづいように見える。まづいかと思うとまづいともいえない。しかし普通にいう意味のうまさはまず無い」
「それでいて黄山谷の書は大きい。実に大きな感じで、これに比べると蘇東坡も米元章もなんだかよそゆきじみて来る。何より黄山谷の書は内にこもった中心からの気魄に満ちていて、しかもそれが変な見てくれになっていない」
「強いけれどもあくどくない。朴訥だが品位が高い。思うままだが、乱暴ではない。うまさを通り越した書で実に立派だ」
「朝、眼が覚めると向こうの壁にかけてあるその写真の書が自然に見えるのだが、毎朝見るたびに、はっとするほどその書が新しい。書面全体からくる生きているような精神の動きが私をうつ。この書が眼にはいると、たちまち頭がはっきりして、寝台からとび下りて、毎朝はじめて見るような思いでその写真の前に立たずにはいられない。そして、「蒙々篁竹下」とあらためてまた見る。吸い寄せられるような思いで「漢塁云々」まで来ると、もう顔を洗ったような気がする」

高村光太郎が黄山谷の書をいかに好んでいたかを感じられます。

【黄谷山関連古書】

書跡名品叢刊 32   宋・黄山谷・李白憶旧遊詩巻

書跡名品叢刊 45   宋・黄山谷・松風閣詩巻他五種

黄山谷王鐸帖