伊都内親王願文 橘逸勢の書
伊都内親王願文の作者は?
三筆の1人である橘逸勢の書とされていますが、確証はありません。
江戸時代の初め、藤木敦直が一条院で伊都内親王願文を見て、筆者を橘逸勢と鑑定してからそう言われるようになりました。
伊都内親王願文(いとないしんのうがんもん)とは
伊都内親王(いとないしんのう)は、平安時代前期の皇族であり、桓武天皇の第8皇女(阿保親王妃)。在原業平の母でもあります。
伊都内親王が、死去した母の藤原平子の遺言によって山階寺(やましなでら 現在の興福寺)に香灯と読経料として墾田16町ほかを寄進した際の願文です。
料紙は、楮紙を使用。
伊都内親王願文の特徴
伊都内親王願文は、橘逸勢の書とされている行草体の作品です。
筆の性能を生かし切り、自由奔放でありながらも格調の高い書です。
行書と草書をおりまぜて、字の大きさも大小まぜて書かれています。
字形は縦長で、少し右上がりになっています。平安時代初めの行草体の筆跡には、字形が縦長で少し右上がりのものが多く存在します。
運筆は自在で変化が多く、点画には強い筆力があります。
書風は唐風です。
盛喜 一輝 KAZUTERU MORIKI
大阪府堺市中区深井中町1994‐3