中村蘭台初世・二世 2人の篆刻家
中村蘭台(初世)とは?
中村蘭台 初世(なかむら らんたい)
1856-1915
日本の篆刻家で、会津若松出身、東京の人。
正体字:蘭臺
別名 :蘇香
号 :香草居主人
明治の初期、高田緑雲に師事。その頃は高田緑雲の影響を感じる作品でした。
明治中期より、徐三庚に影響を受け作風が変わります。さらに秦漢古印、浙派の雰囲気も加わって独自の作風に至ります。
1907年(明治40年)河井荃廬・浜村蔵六・岡本椿所・山田寒山らと丁未印社を創立。
書にも取り組んでいました。
中村蘭台(初世)の刻風
30代前半までは、文彭・何震を基調とした高田緑雲調の温雅な作風
30代後半から40代にかけて徐三庚の華麗な作風、秦漢古印、鄧石如・趙之謙らの刀法も取り入れるようになります。
木印を好み、チュウを刻したり、側款に瓦当を配したり、装飾性を高めた印をつくりました。
大印・変形印の作品も多く残っています。
中村蘭台(初世)の印譜
酔漢堂印存 1906年
蘭台印集 1920年
三集 1929年
中村蘭台(二世)とは?
中村 蘭台 二世(なかむら らんたい)
1892- 1969年
日本の篆刻家で東京都出身。初代中村蘭台の次男。
名:秋作
号:蘭石(らんせき)のち初代の名を襲名し蘭台
父蘭台から篆刻を習いますが、23歳で父蘭台を亡くしてからは独学で篆刻を続けます。
初世の木印技術を習得し、横山大観・川合玉堂の印など優れた作品を遺しました。
昭和36年には篆刻家としては初めて日本芸術院賞を受賞します。
篆刻だけでなく、絵画や書にも独自の風格がある作品が多くあります。
中村蘭台作品集 1966年
中村蘭台(二世)の刻風
父である初世蘭台同様、木印を得意としました。
印面の文字の装飾化・空間処理の独特の手法・印そのものの作製に特異な好悪芸的要素を持ち込みました。
木材には、樫・栃・楠・梨・梅などを使用、刀の切れ味にもこだわりました。
書家西川寧は、蘭台の印をこう評価しています。
1.等分配字の排斥
2.輪郭概念の解放
3.古文による装飾性の発揮
4.空間処理の特色
5.木印における刀技
この5つは近世以来の蘭台篆刻の特異点ではないかと思っている。
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