一字書・少字数書とは?

書道
投稿日:2013年9月20日
一字書・少字数書

一字書・少字数書とは?

  1. 少字数書とは
  2. 少字数書に使う書道道具
  3. 有名な小字数・一字書の作品
  4. 一字書・少字数関連のおすすめ本

一字書・少字数書とは

少字数書とは、漢字のもつ造形性を強調して、特に1~2字を取り上げて書作品とする書道ジャンルです。少字数書という言葉は、日本で戦後に生まれたものです。

一字書は、文字の意味と造形性が合うものがベストですが、作品を書く際は、造形性のみにフォーカスして、意味はあまり重視しません。
展覧会などで作品を観ると、同じ字であっても色々な表現があり、少字数書の可能性を感じます。
漢字が読めない海外の方や書になじみの無い方にも広く受け入れられやすいという特徴があります。

筆で書く点や線には、太細・強弱・にじみ・墨の濃淡・かすれなどの表現方法があります。

文字には書体・形・意味があります。
書体は、楷書・行書・草書・篆書・隷書などです。
形は、文字構成の工夫やデフォルメなど書かれ方の差異がうまれ、書表現のおもしろい点です。
意味においては、その文字の意味から派生した表現がうまれます。

一字書のはじまり
第一次世界大戦後、書を現代の芸術として捉えようとする新しい動きが興りました。
現代的な感覚と書道の伝統を融合させた一字書に初めに注目したのは、書家・手島右卿です。

少字数書に使う書道道具

少字数書は、1~4文字と限られた字数のため、必然的に道具は大きいものになります。
主に日本の筆が多く使われます。

  • 柔毫筆

毛が柔らかい筆です。純羊毛は最も高価です。
墨もちがよく、粘り強い線になります。
毛が柔らかいので、初心者の方には扱いが難しいですが、偶然性の高いおもしろい線がでます。
白い毛=柔らかい毛と思われている方がおられます。馬の白毛は硬さがありますので、必ず毛質は購入前にご確認ください。

  • 兼毫筆

柔らかい毛と硬い毛を混ぜた筆で、コシが強く扱いやすいです。
一般的で最も流通量の多い筆です。

  • 剛毫筆

硬い毛の筆で、強い線がでるコシの強い筆です。

少字数書用剛ごう筆の販売ページを見る
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墨の濃淡は、様々な書表現をもたらします。深さ・強さ・重厚さ・落ち着きなどを感じさせます。
濃淡の表現は、紙選び・墨選びからはじまり、試し書きを繰り返しながら濃淡の調整をします。

濃墨の場合、にじみにくい紙を選び、濃墨の重厚さを活かすことにより作品が引き立ちます。
ゆっくり運筆すれば、冷静沈着で深みのある表現ができます。
速く書くと、ひねりを加るなどして、かすれを表現することができます。

中濃墨の場合、にじみを出したいときは、にじみやすい紙に中濃墨で書きます。運筆を遅らせると、その部分が大きくにじみます。

淡墨の場合、にじみやすい紙では、あらかじめつくった淡墨を使えば、立体感が際立ちます。
潤いのある表現には、大きなにじみが効果的です。
淡墨のつくり方は、「淡墨のつくり方」という記事に書いておりますので、あわせてご覧ください。
淡墨でかすれを表現するには、にじみにくい紙で、早く運筆します。速度感や枯れた表現が可能です。

一字書に使用する落款印

一字書の場合、落款は印のみが多いです。
これは紙面上の一字の造形を他の要素で邪魔しない配慮です。
一字書に使う落款印はやや大きめの印を使用します。
落款印の大きさの目安の例をあげますと、半紙サイズで1寸角(3cm角)くらいです。

有名な小字数・一字書の作品

松井如流 「丹愚」・「妙」・「奥」・「上」
手島右卿 「望」・「抱牛」・「誠」・「虚」
上田桑鳩 「愛(品)」
宇野雪村 「安昌」 など

一字書・少字数関連のおすすめ本

「一文字ART ひともじあーと」
石飛 博光, 仲川 恭司, 蔵元 訓征共著の「一文字ART」「二文字ART

動画にあるように右ページに楷書・行書・草書・篆書体・隷書体を古典から抜粋されているので、分かりやすく参考にできます。
王羲之・王献之・智永・顔真卿・懐素など。

左ページには作品例が掲載されています。

書道展、学生さんであえば文化祭の作品のヒントになるのではないでしょうか?
見ているだけでも楽しい一冊です。

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