久隔帖とは?
久隔帖の読み方
久隔帖は、「きゅうかくじょう」と読みます。
久隔帖の内容
久隔帖は、最澄(さいちょう)が、空海のもとで修業している弟子の泰範(たいはん)を通じて空海にあてた行書体の消息(手紙)で、最澄46歳の書です。
書き出しに「久隔清音・・・」と書いているので、最初の2字をとって久隔帖でよばれています。
最澄は比叡山におり、空海と泰範は高雄山にいました。
久隔帖の末尾に「勤附貞聡仏子奉状」と書かれているのは、弟子の貞聡に久隔帖を持参させることを伝えています。
最澄は空海から「中寿感興詩(空海が作詞)」を贈られます。和詩をつくるについて「中寿感興詩」の序文にある「一百廿礼仏幷方円図幷図幷註義等名」の内容について尋ねています。
追而書きには「法花梵本一巻」を空海に見せたいので、12月9日・10日ごろ空海のところに行きたいといい、空海の都合を尋ねています。
中寿感興詩
黄葉山野に索く、蒼々として豈に終始あらむや嗟余五八歳、長夜円融念ふ、浮雲何れの処よりか出る、本は是れ浄虚空なり一心趣を談んと欲すれば三曜天中に朗らかなり
久隔帖の書風・特徴
字形は縦長で右上がりになっています。
点画は起筆・終筆ともに力を入れていないため、おだやかに見えますが、筆力があります。
技巧をこらすことなく平明に書いています。
久隔帖の書風は、王羲之の集王聖教序(集字聖教序)に似ており、清楚でみやびやかです。
たくさんの文字を一行に書くため、詰めて小さく書かれています。
行は少しずつ低くなっており、上下の文字の間は少しずつあけています。
久隔帖の情報補足
奈良国立博物館所蔵
料紙は楮紙で、縦29.4×横55.2cm
端、奥、地にも余白がなく、端、奥、地は少し断ち落とされています。
18行のうち本文が11行
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盛喜 一輝 KAZUTERU MORIKI
大阪府堺市中区深井中町1994‐3