落款とは? 落款の豆知識
落款とは?落款の意味 落款と雅印の違いは?
落款(らっかん)とは、落成款識(らくせいかんし)の略語で、以下を意味します。
・書画作品にする筆者の署名(姓名、字号)
・書いた年月日、場所(年号、干支、月の異称)
・書いた理由(依頼主など)
・何を書いたか(揮毫した詩文名など)
・書いた方法、種類(書、題、録、臨、倣など)
・雅号を押印する(1カまたは2カの印を使用し、朱文か白文で姓名印・字号印を押す)
その文を「款記」といい、その時捺す印章を「落款印」と言います。
慣習上、署名として押捺された印影、または署名に代えて押捺した印影をさすことも多く、署名用の印そのものを落款と言うこともあります。
ちなみに
款識(かんし)は、もともと中国で殷代(前1700-前1100)頃からつくられた鐘鼎彝器(しょうていいき)に記された銘文のことをいう語です。
款(し)は、陰文(凹文字)、識は陽文(凸文字)を指します。
款も識もしるすと訓みます。
現在では落款といえば、書画が完成したときに筆者が年月や場所、筆者名などを記し、捺印するという意味で使われています。
落款の場所どこに書く・押すのか
落款は、誰が書いたかを示すものですが、同時に作品の美を一層引き立てる役割を果たします。
そのため落款の位置をどうするか、大小、太さ、細さを考慮して書かないといけません。
落款は、多くの場合、作品の左空欄に氏名(または雅号)を書き、●●書と書きます。
他人の詩文を書いた場合
「録●●之詩」「写●●之文」
その他、年月日、古人の書を臨書する場合
「●●臨」
人に贈る作品の場合
「贈●●先生」「祝●●」「為●●君」「祝●●君結婚」
「賀●●氏銀婚」「為●●氏寿」「賀●●氏寿」「祝●●社長古稀」「●●氏嘱」など
先人の図意にならって描く場合
「倣●●」
落款につかう年齢の別称/月の異名
15歳 | 志学 | 1月 | 孟春(睦月) | |
30歳 | 而立 | 2月 | 仲春(如月) | |
40歳 | 不惑 | 3月 | 季春・暮春(弥生) | |
50歳 | 知命 | 4月 | 孟夏(卯月) | |
60歳 | 耳順 | 5月 | 仲夏(皐月) | |
61歳 | 還暦 | 6月 | 季夏・晩夏(水無月) | |
70歳 | 従心(古稀) | 7月 | 孟秋(文月) | |
77歳 | 喜寿 | 8月 | 仲秋(葉月) | |
88歳 | 米寿 | 9月 | 季秋・晩秋(長月) | |
99歳 | 白寿 | 10月 | 孟冬(神無月) | |
11月 | 仲冬(霜月) | |||
12月 | 季冬・晩冬(師走) |
以上は旧暦のため、新暦はこれより約1か月はやくなります。
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