文字の草創期から現在に至るまで、書道の流れをみますと、それぞれの時代に応じた変遷がありながら、今の世にその美的な姿をとどめています。
はじまりは王室が占卜に用いるための亀甲・獣骨文、また神器に彫られた金文、あるいは石文、下って竹簡、木簡、帛書という経緯があって、筆・墨・紙を使用する今日と大体同じような用具による書が行われます。
その後、王義之が現れて書道が芸術性を深め、
さまざまな法帖類(手本集)が出て、伝統面も培われ、体系化され特有の芸術として発展します。
これらが書道の世界で「古典」と呼ばれますが、このほとんどが「細字」と呼ばれるものです。
「細字」という言葉は、「小字」と同じ意味で文字が小さいから必然的に線が細くなる、ということを指したものです。
大字、中字、小字と呼んでいますが、どの大きさをもって「細字」とするかは判然としません。
サイズの問題ではなく、ひとつの目安として机上で手軽に書くことのできる小さな文字というふうに考えてよいと思います。
ちなみに細字主流の古典とは反対に、最近は「少字数」が盛んに行われています。
1字が1メートル以上のものも多く、このような大作は迫力があって壮観です。