自叙帖(懐素書)について
自叙帖とは
自叙帖の筆者・懐素(かいそ 725年-785年)は、唐代の書家・僧で、仏門で修業のかたわら書に励んでいました。特に草書にすぐれており、張旭の後をうけ、草書のなかでも奔放な書体である狂草で名を知られています。
自叙帖は、自由奔放に速書された狂草の代表作として有名です。
1行7字が連綿によって一気に書き継がれているかと思えば、途方もなく大きな文字が一行にたった2字だけ配されるたりしています。
日本では、良寛が懐素の自叙帖や草書千字文を好んで学んだことは有名です。
自叙帖の特徴
狂草は、草書体をさらに柔らかく崩した書体です。
一見自由奔放に見えますが、一定の筆法を守りながら力強く荒々しい熱情が感じられます。
古法を基礎にしながらも、新書風を取り入れ、書道芸術の一分野を切り開いた先駆者で、草書芸術の極致とも言われています。
線は細く、筆勢が鋭いのが特徴です。
自叙帖の臨書 書き方のヒント
- 穂先の働きによる用筆の工夫
- 筆の上下・水平運動と気脈を意識した運筆
- 文字の大小、潤滑、単体と連綿との取り合わせ
自叙帖を学ぶ際は、半紙で1行1行丁寧に臨書してから、半切で作品構成を考慮して行間とリズムを学ぶという流れがよいと思います。
自由奔放な展開の作品ですから、意臨を学ぶとしても大変難しいからです。
筆は、羊毛・兼毫・イタチ毛の中筆くらいが扱いやすいです。
紙は、あまりにじまないものをおすすめします。
盛喜 一輝 KAZUTERU MORIKI
大阪府堺市中区深井中町1994‐3