ありがたい経文の中の字を切り取って飲み込むと病気が治る
古筆の効用として信じられていたそうです。
古筆とは、古人の筆跡、特に平安時代から鎌倉時代にかけて書かれた和様書道のすぐれた筆跡のことです。
現代から考えると非科学的なことではありますが、昔、一部地域で真剣にそんなことをしていたらしいのです。
おそらく多くの人が古筆の経文で実際に治っていたのでしょう。
信じる力といいますか、思い込み力ってものすごいパワーですね。
埼玉県の慈光寺にある「小水麿願経」もそんな例のひとつです。
この地方では最近まで病気になると、この経文の何字かをいただいて、1字ずつ洗って服する(飲み込む)習慣がありました。
比較的最近まで行われていたということですから驚きです。
このように経文の字を服することは室町時代ごろから特に盛んになったらしいのです。
現在、東京国立博物館にある資料で、円珍(智証大師)が歌人の遍昭にあてた書状は、その日付の下の署名がなくなっています。
署名は「山中小生円珍」とありましたが、鎌倉時代に護符(各種の災厄をよけ、幸運をもたらすと信じられているもの、お守りのようなもの)にするために切り取られた旨が資料の末尾に記されています。
このような特殊な例に限らず、古今集の1ページ分なり、写経の数行を切って幅とし、そばにおいて鑑賞したり仏心にひたることも、古筆の効用の1つといえます。
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